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10現代文学純文学から娯楽小説、そして歴史小説など幅広いサブジャンルを含めるよう心がけたので、キーワードなどを参考にしながら好みの小説を選んで欲しい。31 歳のKathy は、Hailsham という寄宿学校で一緒に育っ....

10現代文学純文学から娯楽小説、そして歴史小説など幅広いサブジャンルを含めるよう心がけたので、キーワードなどを参考にしながら好みの小説を選んで欲しい。31 歳のKathy は、Hailsham という寄宿学校で一緒に育ったRuth とTommy との過去を回想する。この学校では、時おり訪ねてくるMadam と呼ばれる女性に自分の創作したものを選んでもらうのが最も栄誉なこととみなされていた。校風になじめぬTommy は、発作を起こしては同級生たちにいじめられていたが、彼にはKathy と、そして教師のMissLucy という理解者がいた。しかし、Miss Lucy は生徒たちに謎の言葉を残して学校を去る。成長するに従い、Kathy、Ruth、Tommy の3 人の友情と愛情は複雑なものになる。そして、隠されていたHailsham と3 人の謎が明らかにされる。SF や風刺小説ともいえる設定だが、それらのカテゴリーに収まることを拒むユニークな作品である。この著者らしい、静かな語り口に秘められた数々のヒントから、現実のパラレルワールドともいえる1990 年代のイギリスと謎めいた寄宿学校Hailsham の実態が、しだいに読者に明らかになってくる。読み終わった後、しばらくは何も手につかず、洗練された近代社会におけるヒューマニティの偽善や人生と愛の意味について考えこんでしまうことだろう。著者のKazuo Ishiguro はよい意味で読者を裏切るのがうまい作家であり、ブッカー賞を受賞したThe Remains of the Day は老執事が過去に思いを馳せる純文学、When WeWere Orphans はミステリと、これまで一度も同じような作品を書いたことがない。読みやすさでは本書、短篇集のNocturnes、The Remains of the Day をおすすめする。もっと読みたい人には……Never Let Me GoKazuo Ishiguro・ペーパーバック:304 ページ・出版社:Vintage・出版年:2006(初版2005)・難易度:★★★★☆・適正年齢:PG15(高校生以上)・キーワード:生命倫理/スペキュレイティブ・フィクション(現実世界とは異なる世界を想定して書かれたもの)/ディストピア/ラブストーリー『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ(著)、土屋政雄(訳)、ハヤカワepi 文庫