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22 23ポイント 1 大量のインプットが必須最初に読者のみなさんに基本的な問いかけをしたいと思います。(A)私たち人間はことばをどうやって習得すると思いますか。(B)外国語(第二言語)に上達した人は、何が他....

22 23ポイント 1 大量のインプットが必須最初に読者のみなさんに基本的な問いかけをしたいと思います。(A)私たち人間はことばをどうやって習得すると思いますか。(B)外国語(第二言語)に上達した人は、何が他の人と違っ  ていたと思いますか。(A) の問いに対する的確な答えを出すことは、実はとても難しく、専門家の間でもその答えは千差万別でしょう。ただし、上記のように「ことば」などと、母語(第一言語)の習得と外国語(第二言語)の学習とはまったく異なる次元なので、同列に扱うべきではないと考える方もおられるでしょう。もちろんその通りで、異なる点も多々あります。しかし案外、母語習得と外国語の学習には共通項もあるのです。これについては本書のポイント9 で詳しく検討することにします。基本的に、母語は自然といつの間にか覚えてしまうのに、外国語は一生懸命単語を暗記し、文法をマスターしないとだめだと言われます。それでは、単語や文法をマスターすれば、あとは自然にことばが話せるようになるのでしょうか。そうではないことは、これまで日本で行われた英語教育法、英語学習法が明らかにしています。私たちの多くは、大学受験勉強などを通じて、一定の語彙力や文法力、さらには英文和訳の技能を身につけてきました。それでも、簡単な英語が聞き取れない、口から出てこない、そんな状況がずっと続いているのです。(B) の問いに対する答えとしては、やっぱり「やる気」の問題だと考える人もいるでしょう。これは、一般に、「動機づけ」とか「モチベーション」とか呼ばれる要素です。また、英語圏に留学しないとだめだとか、よい先生にめぐり会うこと、特に英語母語話者の友だちを持つ、あるいは英語母語話者を恋人にするとよいなどと考える人もいるでしょう。これらはみんなそれなりに「一理ある」と言えます。というのも、これらの条件がかなうと、それだけ英語に接する時間が増える、それだけ多くの英語のインプットに触れることにつながるからです。実は筆者は、これまでのさまざまな議論を整理して、外国語(第二言語)の習得に必要なのは次のふたつの検討課題、「言語インプットの確保」および「学習システムの活性化」を解決することだと考えてきました1)。上記(A) の人間がことばを習得する方法については、図1 では、検討課題(2) にあたります。どのような学習法、教育法をとれば、うまく英語(外国語)が無理なく入ってきて(すなわち、知覚、理解、記憶し内在化して)、使えるようになるかという問題です。これまで私たち日本人が行ってきた、語彙・文法を覚え、日本語に訳すという学習法では、決して英語が使えるようにはなりません。そうではなく、英語という言語が、その音声面も含めて、自然に頭の中に入ってくる、しかも使えるような形で入ってくる、どのような学習法をとればそれが可能になるかという問題です。また、前記(B) の「外国語に上達した人はインプット量が多かった」という点は、図1 では、検討課題(1) に相当します。学習者が接するインプットをどのくらいまで増やせるかその量の問題で図1 第二言語(外国語)習得のための基本課題はじめに:私たちはどのように1. ことばを覚えるのか言語能力検討課題(1) 検討課題(1)言語インプット学習(知覚・理解・記憶・内在化)システム  1) 門田(2007:251; 2012:20)