英米リーダーの英語 試読

英米リーダーの英語 試読 page 9/22

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15ここがスピーチの達人技!71第3章ビジョンを示すスピーチバラク・オバマvs デービッド・キャメロン? 冒頭に引用句をもってきて、いかに自分がケネディの伝統を受け継ぐ自由の信奉者であり、自由な国アメリカの発展....

15ここがスピーチの達人技!71第3章ビジョンを示すスピーチバラク・オバマvs デービッド・キャメロン? 冒頭に引用句をもってきて、いかに自分がケネディの伝統を受け継ぐ自由の信奉者であり、自由な国アメリカの発展に寄与するかを印象付けています。? my task(私の任務)とtask of us all(皆の任務)によって、大統領である自分がすることと国民に課された任務を対比させています。? grit and determination(気概と決意)と同じ性質を示す言葉を重ねて強調するのは演説でよく使われる手法です。? オバマ大統領の演説にまず学ぶべきは何といってもリズムのよさ。Afterで始まる文章をふたつ並べて、それまでのgrinding war(苦しい戦争)、grueling recession(厳しい景気後退)という状況を際立たせながらたたみかけ、その後の実績を強調しています。? 具体的に例を挙げてわかりやすく、実績が上がっていること、進展がみられることを力強く訴えています。【訳】下院議長、副大統領、議員のみなさん、国民のみなさん。51 年前、ジョン・F・ケネディがこの議場において、「アメリカ合衆国憲法により、我々は権力を争うライバルでなく、進歩をめざすパートナーになった」と明言し、さらにこう続けました。(拍手)。「一般教書を伝えるのは私の任務である――しかし、国の状態をよくするのは皆の任務である」と。今夜、アメリカ国民の気概と決意のおかげで、報告すべき多くの進展があります。十年に及ぶ苦しい戦争が終わり、アメリカの勇敢な兵士たちが帰還してきます(拍手)。何年にもわたった厳しい景気後退が終わり、アメリカの企業は600 万人以上の新たな雇用を創出してきました。我々は過去5 年に比べ、より多くのアメリカ産の車を購入し、中東から石油を買う量はこの20 年と比べて少なくなっています(拍手)。住宅市場は立ち直りをみせています。株式市場は回復しています。消費者、患者、住宅所有者は今までよりも手厚い保護を受けています(拍手)。そうです、我々は一丸となって危機がもたらした残骸を取り除いてきました。我々は新たな自信をもって、アメリカはさらに強固な状態となったと言うことができます(拍手)。● CD トラック番号下記は、このCDの効果的な使い方の一例です。? スクリプトを見ながらスピーチ全体を聞く 音量、音域、速さ、強調の仕方、間の取り方、言葉づかいなどに注意しながら聞きましょう。? シンクロ・リーディング 音声を聞きながら読みましょう。全部口に出して音読できることを目指しましょう。? シャドーイング スプリクトを見ずに、音声を聞きながらほぼ同時に繰り返して言ってみましょう。ストレス(強勢)、高さ、長さ、速さ、リズム、イントネーション、ポーズなど、音声面の特徴を正確に再現しましょう。? ディクテーション 書き取りをして正確に聞き取れているか確認してみましょう。94 95第●章のまとめ●タイトル入る●ビジョンを示すスピーチ なるほど、ビジネスで言われるclear and concise(明確に、簡潔に)につながる点がありますね。組織をまとめる立場にあるリーダーにとっても説明力は大切な要素ですが、人や組織を動かすという点で参考になることはありますか? オバマ大統領の特徴は具体例を挙げることです。実際にこんな人がいる、こういうことはすばらしいという例を挙げることによって、アメリカ人としての誇りを持たせ、団結を促しています。たとえば、この一般教書演説で取り上げた(p.78)以外にも、ハリケーンが上陸した際に新生児の命を救うために駆けつけた看護師のことを名前を挙げて語っています。 具体例という点では、キャメロン首相もベルリンの壁に行ったときの体験など、自分のパーソナルストーリーを例に挙げていますね。 また、国民を関与させるという点では、国民の意識を変える工夫が随所に見られます。イギリスの島国根性を“independence” という言葉で表し、孤立主義者ではなく“open” な国でもあると語り、国民に改めて開放性を意識させようとしています。国民の意識改革なしに国民投票に突き進むわけにはいかないですからね。 具体例を挙げながら聞き手の意識を高めていく、変えていくといった手法は、政治の世界以外でも応用できそうですね。同じことを言うのでも、こういう言い方で話をされると、「なるほど」と納得できるかもしれないということはあると思います。その意味でも、伝え方というのは非常に大切な要素ですね。 わかりやすさに加えて、印象に残る伝え方ですね。キャメロン首相はイギリスとヨーロッパを対比させながら、“We can no morechange this British sensibility than we could drain the EnglishChannel.”(p.88)、 “The fact is that ours is not just an island story―it is also a continental story.”(p.90)といったレトリックを効果的に組み込んでいますが、こういった表現のうまさはさすがスピーチの達人という感じですね。真似するのは難しいかもしれませんが、私たちがスピーチを行うときも、決めゼリフというか、相手の心に刺さるワンフレーズを盛り込むことを意識してみてはどうでしょうか。 本章では名スピーカー(orator)として名高い英米現役首脳のスピーチを取り上げました。一国のリーダーとして重要なのは、国民に対する説明責任(accountability)であり、その責任を果たすには、説明する能力が重要になってきます。その「説明力」という点で、キャメロン首相のスピーチではどのようなところが参考になりますか? まず、ストーリーの運び方とキーワードの絡め方が絶妙です。結論から先に入るのではなく、いわゆる起承転結型です。このスピーチでは、イギリスのEU に対する姿勢について懐疑的な見方が広がる中、言葉を慎重に選びながら、 ①戦後史におけるEU の目的、②今のEUの目指すべき道、③それに必要なもの、④イギリスのEU との関わり方と順を追って丁寧に話を進めています。そして、それぞれについて、① peace、② prosperity、③ change、④ island & continentalstory というキーワードを効果的に用いています。 話し方という点では、終始落ち着いたトーンながら、ストレス(強勢)を置くべきところでは強くはっきり述べることで、自分の信念が聞き手の脳裏に残るよう工夫しています。 十分納得したとは言えない聞き手に対して、どのように理解を求めたら効果的かという点で、とても参考になるスピーチでしたが、オバマ大統領の方はいかがですか? アメリカは移民の国ですから、隣の住人が昨日アメリカに来たばかりの人ということも日常茶飯事です。大統領は、そうした多種多様な人たちに自分がアメリカ国民であるという意識を持たせ、国としてまとめていく責務を負っているわけですから、相当な説明力が求められます。 今回取り上げたthe State of the Union Address は、文字通り「(アメリカという)国の現状」と「一般教書演説」の両方を指すものです。大統領として自分が何をなすべきか、そして同時に国民には何が課されているのかを、スピーチの冒頭で“my task” “the taskof us all”( p.70)という形で対比して示していますが、対比することによって、国民がやらなければならないことは何かが非常にクリアになっています。聞いている人に明確に伝わるように話すテクニックは、ビジネスシーンでも応用できると思います。第3章 まとめ3 章のまとめリーダーに求められる「説明力」第3章各章のまとめその章のポイントを鶴田先生と柴田先生のトーク形式で振り返ります。日本語訳 パラグラフごとに分かれています。ここがスピーチの達人技! ポイントとなる表現や構成上の特徴、参考にしてみたい言い回しなど、スピーチを理解する上で重要な情報を解説してあります。番号は左ページのスクリプトに対応しています。