多聴多読マガジン 2013年12月号 vol41試し読み

多聴多読マガジン 2013年12月号 vol41試し読み page 21/52

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概要:
2013 DECEMBER 41特別記事「新・多読三原則」をめぐって文章を読ませた後に、5分間くらいでサマリーを書かせたりしているんですが、「すべり読み」をする子は、全然書けない。司会:「すべり読み」と「飛ばし読み」....

2013 DECEMBER 41特別記事「新・多読三原則」をめぐって文章を読ませた後に、5分間くらいでサマリーを書かせたりしているんですが、「すべり読み」をする子は、全然書けない。司会:「すべり読み」と「飛ばし読み」はどう使い分けているんでしょうか。古川:もともと多読三原則で飛ばし読みと言っていたのは、わからないところを飛ばして、わかるところをつなげて読みましょうという趣旨だったわけです。「すべり読み」っていうのは上すべりをしてしまうということです。表面上読んでいるふりになってしまっている。 それで今度の多読学会で話し合いましょうということになりました。 あと私の個人的な経験ですが、親が熱心で小学校のときに100 万語以上読んだと言う子がクラスにいるんですけれど、難しいことに完璧な「すべり読み」でした。今までに読んだことがある本は読みたくないっていうのですが、やさしいものから読んでもらいました。「すべり読み」の場合、本人としてはある程度読めているつもりで、そこそこ楽しんでいる。繁村:読めているつもりなんだ。内容理解できてなくても。西澤:うちの学生の場合は、6 年間かけて140 万語読んで、TOEIC の点も科目の合格基準を超えていて、本人もみんなも幸せだったんですけれど、今年になってリーディングの試験ができない、ということがわかった。慌てて調べてみたら、2 年目からずっとリーディング試験ができていなかった。要は読めてない。みなさんが言うようなすべり読みとは違って、ストーリーの若干細かい部分は自分でひねって作っているので、本人は読めているつもりです。しかし、例えば主人公の敵役がおばさんなのに、おばあさんだったり、細かいところが違っている。古川:私が言っている「すべり読み」はそれに近いですね。程度によるけれど、本人はある程度読めたつもりになっていて、しかも本人はそんなにつまんなくないという。高瀬:大筋はわかっている。西澤:そう、大筋はわかってますね。ストーリーはわかってる。高瀬:それでTOEIC は上がるんですか。西澤:上がりますね。うちの最低基準は450 点なのですが、すべり読みしていても、そのぐらいまでは行くようです。繁村:この中では僕、新・多読三原則に多少の抵抗を一番感じている人だと思うんですけど、「すべり読み」はしちゃまずいですね。もし指導できればいいけど、独学の場合はもうどうしようもない。古川:実際多読したのにTOEIC の点数が全然伸びないっていう大人の方もいるじゃないですか。でもその人に聞いてみると、飛ばし読みして自分は楽しんではいる。本人いわく、日本語だったら7 割墨で塗られていても内容はわかる。だから英語もわからないところを飛ばしていても、ストーリーはある程度想像できちゃう。けれども、これでは英語の力は伸びない。高瀬:数年前にもひとりいましたね。初めて100 万語読破した大学生で、1 年間教えたんですが、その学生がTOEIC(500 くらい)もEPER*もほとんど伸びなかったんですよ。最初からそれくらいで、100 万語読んでもそれくらい。A to Z Mystery シリー「すべり読み」と「飛ばし読み」西澤 一 (豊田高専教授)元日本多読学会・会長。図書館を活用したいです。* EPER (Edinburgh Project on Extensive Reading)。エジンバラ大学の多読研究チームが  開発したクローズテストで、文法力を含め英語力全般を測る。