ブックタイトルシャドーイング・音読と英語コミュニケーションの科学 試読

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概要

シャドーイング・音読と英語コミュニケーションの科学 試読

序章コミュニケーションは同時進行がいっぱい!:多重処理とは?かに、(1)理解、(2)思考、(3)産出の3過程がほぼ同時平行的に進んでいることがわかります。母語の日本語でのコミュニケーションにおいては、上記の(2)は別にしても、(1)(3)は、ほぼ自動的に反応できるレベルに到達しています。従って、3つのプロセスの同時進行といっても、私たちにとっては、(2)だけに意識を集中していればそれで十分です。(1)(3)であれこれと思いを巡らす必要はありません。しかしこれが英語(外国語)でのコミュニケーションであれば事情は一変します。ある程度、聞いて理解するリスニングなら少々速い速度でもついて行ける、スピーキングでも自身のペースでゆっくり発話するだけなら何とかこなせるというかなり上達したレベルの人でも大変です。リスニング、スピーキングといった単体での処理が可能でも、瞬時に両者のタスクを同時進行でしなければならないコミュニケーションでは、たちまち立ち往生することになってしまいます。ましてや、同時に内容についても熟慮する必要があるときには、もう太刀打ちできず、ハングアップ状態に入ってしまいます。実は、英語(外国語)がかなり堪能だという人でも、英語でのコミュニケーションをリアルタイムでしている場合、上記のような状況はほとんどの人が経験済みではないかと思います。ましてや、英語にあまり自信のない学習者の場合、簡単な英語によるコミュニケーション活動でも、容易にこのような状況に陥ることが予測できます。ではなぜ英語(外国語)の場合には、すぐにこのような状況になってしまうのでしょうか。もう皆さんも予想できるかもしれません。そうです、(2)思考しつつ、同時進行で(1)理解、(3)産出を実行する精神的な余裕がなくなってしまっているのです。すなわち、日本語(母語)の場合には、(1)(3)が自動化しているぶん、(2)の思考(意味内容・概念の処理)に集中できているのに、英語(外国語)の場合は、意識的に(非自動的に)、3つの処理を同時平行的に進める必要があるからです。したがって、本来なら(2)だけの一重処理となるところが、実は3つのプロセスを同時にこなす三重処理になっているのです。このような状況を指して、「認知資源(cognitive resources)や注意資源(attentional resources)が多く消費されて、使用可能な残りの資源がわずか17