中国語学習ガイドブック

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8発音はどうしても難しいので、そこで辞めてしまわないように、100%できなくても褒めるようにしています。とにかく発音を飽きずに楽しく練習させることに一番力を入れています。胡  同感です。最初は発音が大切で....

8発音はどうしても難しいので、そこで辞めてしまわないように、100%できなくても褒めるようにしています。とにかく発音を飽きずに楽しく練習させることに一番力を入れています。胡  同感です。最初は発音が大切ですね。正確に習得できるかどうか、善し悪しが一生涯ついてきますから。ただ、大学では時間数が限られているので、徹底的にやれないですね。授業時間内でなんとか完結させたいと思いますが、物理的に厳しい。 最近は、いかに中国語、中国人、中国文化に興味を持ってもらい、継続的に勉強してもらえるか工夫したり、あるいは、大学を卒業した後、勉強を再開するきっかけをどのように作ったらよいのかを考えたりもしていますが……。楊  私もやっぱり発音ですね。胡先生がおっしゃるとおり、中国語人生は発音で決まりますから。 ただ、その前に私は特に「聞くこと」を強調しています。授業の90%くらいの時間は聞くことに当てています。だから私の授業では最初はあまり発音させないんです。 これは言語学と第二言語習得の研究成果なんですが、子どもが言葉を話し始める直前には「沈黙期間」が訪れると言われており、その間に聴覚イメージを作っているそうです。その聴覚イメージが脳の中で形成されるからこそ、子どもは誰に教えてもらうこともなく、自分で自分の発音を矯正、母語を習得することができるのだということです。 また、大人と子どもを比べて、子どものほうがより目標言語に近い発音ができるのは、大人の場合、聴覚イメージを作る前に、仕事や日常生活を営むための必要性(社会的なプレッシャー)から、学んだ外国語をすぐに応用しなければならず、結果的に母語の聴覚イメージに影響されてしまいます。だから、日本語を勉強している大人の外国人の発音を聞けばわかるのですが、母語によってそれぞれ特徴のある日本語になってしまいます。中国人は中国語的、韓国人はハングル的な発音になってしまいます。 これに対して、子どもはそういった社会的なプレッシャーは弱く、しかも恥ずかしいから自ら話さないということが許されます。ですから、海外で暮らすようになった子どもは、結果的に「黙って遊ぶ」という、ある意味で「沈黙期間」に近い環境で聴覚イメージを作ることができます。そして、半年もたてば、ネイティブに近い発音になっていくと言われています。 これは私個人の経験にも重なります。 ですから、私の授業では1 年生はできるだけ発音を控えめにさせています。初級段階では、発音を良くするためにはとにかく聞く、聞く、聞くことだと、学習者にすすめています。伸びる学生は、先生方の長いご経験を通してみると、どんな特徴があるんでしょうか?楊 達[Yang Da] 北京市出身。来日してすでに35 年以上。中国に帰ると日本人に見られ、日本人の同僚には大陸的(歩行速度が遅いためか)と言われる。専門は中国語の文法、最近は特に二言語習得、とりわけ人の記憶の仕組みに興味を持っている。 趣味はテニスと美味しい中華を食べること。2008 年10 月空間概念研究所を設立。コンピュータやスマートフォンによる学習コンテンツを開発中。 中国語教育歴は20 年。